クロック精度のことが気になる機会が続いたせいで、オーディオインタフェイスについてもここらでアップグレードしようかと考えていた折、とにかく音質がいいという噂のRME Babyface Proが、まさに内部クロック「SteadyClock」をフェムト秒(FS)単位まで高精度に刷新してモデルチェンジするというのを知り、しばらく悩んだ挙句に購入することにしました。以下、簡単なレビューも。
開封の儀
届いたのはコチラ。結構しっかりしたハードケースに入っています。
日本国内の正規品を購入したので、本体の他に日本語版の説明書が付いています。専用ドライバソフトやソフトウェアミキサーを使うなど、突っ込んだ知識が必要そうな製品なので、やはり日本語説明書があると助かります。
開封するとおまけのシールなども入ってました。
いよいよ開梱。不織布に入った本体が出てきます。それにしてもフタの留め具が固い。苦笑 しっかり閉まる良さはあるけれど、日常使いするのはちょっと難しいかな。
ハードケースの中には、本体とUSBケーブル、MIDIブレイクアウトケーブルが収まっています。
これまで使っていた Focusrite Scarlett 2i4 2nd Gen. と並べてみた。寸法で思っていたよりも小型で、何より薄い。メインのIn/Outが本体の後ろ側になるので手前にケーブルが来ず、デスクトップで使う上ではスッキリして良いです。ヘッドフォンプラグが右に張り出してしまうのが少々難点ではある。
ファーストインプレッション
正直な話、10万円もする買い物して違いがわからなかったらどうしよう…とドキドキしていました。開封して、セットアップして、ヘッドフォンをつないで、さっそく音を聴いてみる… はい、ありがとうございます。満足です。買って良かったです。
説明が難しいのですが、とにかく音がクリアに聞こえる。低域から高域までスッキリ。今まではちょっとしたモヤの中にいた(ことに気付いてなかった)んだなと思いました。唯一の難点は、とにかく気持ちよく聴けてしまうので、逆に「一般的な環境で聴くとダメになる音」を忘れてしまうんじゃないか、ということぐらい。笑
専用ドライバとTotalMix FXについて
事前にあれこれ調べていた範囲では「RME製品はとにかくドライバの安定性がすごい」「一切トラブルがない」というレビューをよく見ていたんですが、残念ながら自分の環境ではそうとも言えない感じです。
最初のドライバ・インストールの際にMacの再起動が必要になるんですが、その際に起動中に止まってしまって対処が必要になったり、今までScarlett 2i4では全然問題なかったUSBハブ経由の接続で(セルフパワーのUSBハブでも)音切れが多く発生したり、少々悩まされたのが正直なところです。Mac直結ではトラブルは少ないので、しばらく様子見。
付属のソフトウェアミキサー「TotalMix FX」は、やはり最初は取っ付きにくかったです。公式のYouTubeチャンネル(Synthax Japan 日本語字幕版)で解説を何度も見ていたおかげで困ることはなかったですが、実際にいじりながら覚えていく感じだなと。
とはいえ、これは非常に便利な機能でした。Babyface Proは12in12out仕様で、うち8chはオプティカルADAT。サクッと使えるのは実質アナログ4chですが、内部的には常に12chが使えます。DAWなどのソフトウェアからは12chに対してルーティングができ、それをTotalMix内で再ルーティングできるため、例えば2系統に分けて出力している音声を、両方ともヘッドフォンで聴くとか、マイク入力をヘッドフォンではモニターするがスピーカーには出さないとか、使っていないチャンネルに再生音をまとめ、ループバックして別のソフトウェアで録音するだとか、かなりの自由度があります。実際、いくつかの作業で非常に役立っています。
小さなことですが「DIM」ボタンも便利。TotalMix FXで「Main」に指定したアウトプットの音量を、ボタンを押すだけで20dB下げてくれる機能です。スピーカーで作業してた後ヘッドフォンで確認する際に、ボタン一発でスピーカーの音量を下げておき、ヘッドフォンに集中して作業できます。「ヘッドフォンかけてて、気付いたらスピーカーから大音量が出てた」なんてことも避けられます。
またマウスで操作するのが煩雑な場合は、iPadがあれば「TotalMix FX Remote」アプリでほとんどの機能がタッチ操作可能です。
収納ケースについて
製品が入ってくるハードケースは、確かにがっしりしているんですが、大きすぎる上に留め具が固くて毎回開けるのが大変です。機材入れにドカドカ入れるなら頑丈さは利点ですが、リュックサックに入れて持ち歩くならもっと簡易的でいい。
そこで活用しているのが、100均(セリア)で売っているB5サイズのクッションケース。大きさがほぼ適切で、ジッパーが長辺から短辺にちょいと食い込んで開けられるのが更に良い。USBケーブルはそのまま入れると端子が本体を傷付けそうなので、こちらは一回り小さなポーチに入れた上で一緒に突っ込んでいます。
ちなみに事務所ではこちらのUSBケーブルを置きっぱなし(Macに挿しっぱなし)にして、Babyface Pro本体だけ繋げれば良いようにしています。
しばらく使ってみて
何よりも、音の良さは本当に気に入っています。私は自宅の作業部屋と外の事務所の2ヶ所で仕事をしており、これまではそれぞれにある2万円クラスのオーディオインターフェイスを使っていたんですが、こんなにも「持ち歩いてどっちでも使いたい」と思ったのは初めてです。(実際毎日のように携えてどっちでも使っています。)
電気的な経路を通ってくる音は、もう全部これを通して聴きたいと本気で思うくらいには気に入っていて、確かにこれなら10万でも納得だなと感じています。ドライバ/接続の安定性に関しては少々疑問が残る(環境次第?)んですが、それを補って余りあるくらい、いい。
それと、不思議なことに長時間のヘッドフォン作業をしてても疲れが減りました。(Scarlett 2i4も悪いものじゃなかったんですが、Babyface Proを使った後にScarlettで聴くと、やっぱり長い時間聴くとなんか耳が疲れます。)
今まであんまり音楽をBGMに聴きながら作業しなかったんですが、持ってる音源全部聴き直したくなっています。
モデルチェンジしたおかげで前モデルを値下げしてるところも多いようです。前モデルの時点で既に「異常に良い」という評判だったので、こちらを選ぶのもいいかもしれません。
ちなみにメインで使っているヘッドフォンはSONY MDR-7506です。私は900STよりこっちが好き。
そしてサウンドハウス/CLASSIC PROの格安モニターヘッドフォンCPH7000でも、Babyface Proを通すとなんか結構満足して聴けちゃいます。自宅では主にこっちを使ってます。ほんと、ヘタな安いヘッドフォン買うぐらいなら絶対こっちを買ったほうがいい。